1)映画の授業

 

 「映画の世界」とは

 九州大学の基幹教育で総合科目という科目です。複数の教員によるリレー講義で、若い人たちにもっと映画を、特に新旧の邦画も見てもらいたいという想いから、本来の研究分野ではない内容の授業を担当しています。映画を分析的に鑑賞する態度の涵養を目指しています。

 

 

 授業内容

1996年度前期:副題「大林宣彦の尾道を考える」
福岡女学院大学教授荒木正見教授と、大林宣彦の「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」「ふたり」「あした」を上映しながら解説。学生によるロケ地のレポートにけっこう力作があった。一生の宝物としておく。

1996年度後期:副題「世界映画入門」
私は邦画のクラシックと最近の作品の抜粋を比較。クラシックとして「生きる」「七人の侍」「二十四の瞳」、最近の作品として「お引越し」「家族ゲーム」「台風クラブ」を取り上げた。残った時間で「2001年宇宙の旅」を鑑賞。同僚の高橋助教授は小津安二郎、高藤教授はトリュフォー、日下助教授は香港映画、岡野助教授は「カリガリ博士」を取り上げた。

1997年度後期:副題「アジア、日本」
私は大林宣彦監督作品として「異人たちとの夏」「さびしんぼう」「北京的西瓜」を上映しながら解説。同僚の日下助教授は香港映画の「恋する惑星」を取り上げ、日中における女性の違いを解説。田中俊明助教授は一連のゴジラ映画を取り上げた。

1998年度後期:副題「映像と文化」
私は世界の名作名監督の紹介、簡単な日本映画史を講義し、作品としては成瀬巳喜男の「浮雲」を取り上げた。同僚の阿尾助教授は北野武、同じく同僚の岡野助教授はタルコフスキーを取り上げた。

1999年度後期:副題「映画を考える」
私は簡単な日本映画史を講義し、作品としては「喜びも悲しみも幾歳月」を取り上げ、異時代理解をテーマにした。同僚阿尾助教授は北野、小津、ゴダールを、高藤教授は「ボヴァリー夫人」を、田中陽子教授は「インドシナ」を、ホーン外国人教師はオーソン・ウェルズを取り上げた。

2000年度後期:副題「映画で考える」
私は「家族」「晩春」「二十四の瞳」を取り上げ、異時代理解をテーマとした。同僚の田中陽子教授は「インドシナ」、志水俊広助教授は「カリガリ博士」やキートンの喜劇などを取り上げた。

2001年度後期:副題「比較作品論」
私は「東京物語」「2001年宇宙の旅」を取り上げ、同僚の大津助教授は「太陽がいっぱい」「リプリー」を取り上げ、同僚の志水助教授は「惑星ソラリス」を取り上げた。

2002年度前期:副題「大林宣彦論」
私は「さびしんぼう」を扱い、日本赤十字九州国際看護大学の荒木正見教授は「時をかける少女」「鉄道員(ぽっぽや)」を扱い、同僚の志水助教授は「青春デンデケデケデケ」を取り上げた。

2003年度前期:副題「日本のむかし」
私は「ここに泉あり」「サンダカン八番娼館 望郷」を扱い、日本赤十字国際看護大学の荒木正見教授は「東京物語」「ふたり」を扱い、同僚の志水助教授は「キューポラのある街」を取り上げた。

2004年度前期:副題「青春と死」
新著を使って大林宣彦特集。私は「さびしんぼう」と「ふたり」を取り上げ、日本赤十字国際看護大学の荒木正見教授は「あした」「あの、夏の日」を扱い、同僚の志水助教授は「転校生」を取り上げた。

2005年度前期:副題「若者たち」
荒木正見教授は「チルソクの夏」と「ふたり」を取り上げ、私は「若者たち」「がんばっていきまっしょい」「さびしんぼう」を取り上げた。

2006年度前期:副題「佐々部清論」
九州歯科大学荒木正見教授は「チルソクの夏」と「カーテンコール」、私は「陽はまた昇る」「四日間の奇蹟」、同僚の志水助教授は「半落ち」を取り上げた。6月14日は佐々部清監督御自身に御講演いただいた。

2007年度前期:副題「異時代理解」
私は「名もなく貧しく美しく」「月光の夏」「裸の島」を取り上げた。九州歯科大学荒木正見教授は「チルソクの夏」「カーテンコール」を取り上げた。

2008年度前期:副題「黒澤明特集」
私は「生きる」「隠し砦の三悪人」「赤ひげ」を取り上げた。同僚の志水准教授は「姿三四郎」「羅生門」「用心棒」「まあだだよ」を取り上げた。

2009年度前期:副題「黒澤明特集2」
私は「七人の侍」「天国と地獄」「静かなる決闘」を取り上げた。同僚の志水准教授は

2010年度前期:副題「黒澤明特集3」
私は「生きる」「天国と地獄」「赤ひげ」「羅生門」を取り上げた。同僚の志水准教授は「蜘蛛巣城」「乱」悪い奴ほどよく眠る」を取り上げた。

2011年度前期:副題「戦争映画特集」
私は「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」「シンドラーのリスト」を取り上げた。同僚の志水准教授は「最前線物語」「トンマッコルへようこそ」「美しい夏キリシマ」を取り上げた。

2012年度前期
私は「フライド・グリーン・トマト」「夕凪の街・桜の国」「さらば我が愛 覇王別姫」を取り上げた。同僚の志水准教授は「紙屋悦子の青春」「原子力戦争 Lost Love」「とべない沈黙」を取り上げた。

2013年度前期
私は「カラー・パープル」「ビフォア・ザ・レイン」「喜びも悲しみも幾歳月」を取り上げた。同僚の志水准教授は「Tomorrow 明日」「美しい夏キリシマ」「父と暮らせば」を取り上げた。

2014年度前期
私は「サラの鍵」「冬冬の夏休み」「家族」を取り上げた。同僚の志水准教授は「ゴダールの映画史」を取り上げた。同僚の河原助教は「ヒューゴの不思議な発明」を取り上げた。

2015年度前期
私は「さびしんぼう」「キリングフィールド」「東京物語」を取り上げた。同僚の志水准教授は「我が青春に悔いなし」「日本の夜と霧」「横道世之介」、同僚の河原助教は映画草創期のサイレント作品数本とデジタルとフィルムのドキュメンタリーを取り上げ九大フィルで指揮を取る鈴木優人氏を招いて(河原先生のご尽力))椎木講堂でピアノの即興伴奏による初期映画上映イベントを椎木講堂で行った。
 *このイベントの記録:
  名称:鈴木優人×映画史
  主催:九州大学大学院言語文化研究院
  後援:福岡市、福岡市文化芸術振興財団
  協力:九大フィルハーモニー・オーケストラ、武満徹の小宇宙企画の会
  上映:「ラ・シオタ駅への列車の到着」「工場の出口」「レアビット狂の夢」
     「アナベル・ムーアによるサーペインタイン・ダンス」「月世界旅行」
     「大列車強盗」

2016年度前期
私は「おみおくりの作法」「JFK」「転校生」を取り上げた。同僚の志水准教授は「国会へ行こう!」「選挙」「スーパー・チューズデー:正義を売った日」、同僚の河原助教は「ラ・シオタ駅への列車の到着」「ドリーの冒険」「マイブリッジの糸」「見知らぬ乗客」などを取り上げた。

2017年度前期 :
私は「ビフォア・ザ・レイン」「マディソン郡の橋」を取り上げた。非常勤講師の映画評論家前田秀一郎氏は「安重根、伊藤博文を撃つ」「風の輝く朝に」を取り上げた。今回から1単位2限通し×4回の開講形態になった。

2018年度前期 :
私は「母と暮らせば」「サラの鍵」を取り上げた。非常勤講師の映画評論家前田秀一郎氏は「Spicy Love Soup」「将軍の息子」を取り上げた。

2019年度前期 :
都合により同僚の志水俊広准教授が開講した。私は「黒い雨」を取り上げた。

2020年度前期:
コロナ禍により開講できず(オンラインでは不能)

2021年度前期:
コロナ禍により開講できず(オンラインでは不能)

2022年度前期:
私は「転校生」「ビフォア・ザ・レイン」を取り上げた。ゲスト講師の映画評論家前田秀一郎氏は「安重根、伊藤博文を撃つ」「風の輝く朝に」を取り上げた。

2023年度前期:
私は「サラの鍵」「清く正しく美しく」を取り上げた。ゲスト講師の映画評論家前田秀一郎氏は「安重根、伊藤博文を撃つ」「風の輝く朝に」を取り上げた。